イタリアの有名ブランドが強いた不法労働の実態

ヴェッキオ橋

こんにちは。代表の小山です。

イタリアの縫製工場が最近になって中国人経営者に買収されて粗悪なMade in Italy製品が販売されている、という記事を以前見たことがありました。昨日放送された未来世紀ジパングも同じような内容かと思って見ていたのですが、少し違っていましたのでご紹介します。

イタリア中西部に位置するトスカーナ州のとある工場では、イタリア人の職人を全員解雇し、賃金の安い外国人を雇い入れました。この工場は誰もが知る有名な高級ブランドの下請けですが、元工場長の証言によると、安価な人員への転換は発注元ブランドの意向であり、それを受け入れざるを得なかったようです。

これまではMade in Italyという看板欲しさに外国人が工場を買収するという単純な構図でしたが、このケースでは問題がやや複雑でした。つまり安い労働力とは不法滞在者であるケースが多く、それが故に1日16時間という劣悪な労働環境にさらされても文句を言えない状況にあります。革製品やアパレル工場が多くあるトスカーナ州プラートでは人口約19万人のうちじつに約4万人が中国系住民、さらにはその6割が不法滞在者だというのです。外国人を正規雇用して職人として育てるならいいのですが、これでは劣悪な労働を強いているという倫理的な問題だけでなく、労働者の不満やストレスが溜まって治安も悪くなってしまいます。

数年前、ファストファッションの劣悪な労働環境が問題になりました。2013年にバングラデシュで縫製工場の入ったラナプラザビルが崩壊したニュースは大きく報じられたので、覚えている方も多いのではないでしょうか。欧米のアパレル企業がアジアで過酷な労働を強いた問題の縮図がイタリアでも起きているようです。

もちろんイタリアには健全な労働環境の縫製工場もたくさんあります。では、どのように見分けるのか。やはり作っている職人の顔を出しているかどうか、というのは1つの重要な指標だと思います。

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